ロードバイクに乗り始めると整備や調整の為色々な工具を使い始めます。
普段から使っているドライバーや六角レンチなどで大抵のことは出来ますが段々と専用の工具を使用しなければならない場所や状況が出てきます。
そこで、「そんなにすごい整備や調整は行わないよ」と言う方も今後の為にも持っておいた方がいい特殊工具を2つ紹介したいと思います。
「クランク取付工具」と「ロックリング締付け工具」
になります。
なお、今回の紹介はシマノのコンポーネント用となります。
カンパやSRAMには対応していないのでご了承ください。
それでは紹介して参りましょう。
クランク取付工具とは? どこに使う?
クランク取付工具とはこのような工具になります。
シマノのTL-FC16 と言う工具になります。
材質はプラスチックというか樹脂というか、そんな感じのものです。
こちらはクランク取付工具という名前ですが正確にはクランクの取り外しの作業の中で使うもので、これを使ってクランク自体を取り付ける訳ではないのでちょっと注意です。
さてこの工具ですが実際にどうやって使うかというと
クランクのこのキャップを取り外すのに使用します。
このキャップを外さないと左のクランクは外す事ができず、左のクランクを外さないと右のクランクを外すことが出来ません。
一見、大きめのマイナスドライバーやプライヤーのなどで外せそうな感じですが、キャップがしっかりはまっているとうまく力がかからず舐めてしまうこともありそうなのでやめておいた方がいいです。
自分はクランクなんて外すことはないよ〜、と思っている方も意外と使う機会があるかもしれません。
クランクを外して中の方まで掃除がしたい、とか、チェーンが変な風に落ちてクランクをフレームの間にガッツリ嵌ってしまい無理に引っ張るとフレームを傷つけそうだ、などなど。
Amazonなどでも¥300ぐらいで手に入るので一つ持っていても損はないと思います。
実際の外し方ですがまず左クランクの上下のボルトを六角レンチで外します。
続いてキャップ外しを使ってキャップを外します。
通常はボルトを外していれば手で回すことが出来ますが、取り付け時にグリスを塗っていなかったりするとかなり硬い時があります。
工具は樹脂製なので気をつけて回して下さい。
キャップを取り外し外れ止めのプレートを外せば
無事に左クランクを外すことが出来ます。
ちゃんとグリースが塗ってあったので簡単に外すことが出来ました。
さて取り付け時ですが、まずは取り付けの前に次回取り外しのことを考えて古いグリースをきちんと拭いて新しいグリースを塗布します。
左クランクを取り付けます。
なお、クランクには所定の位置以外には嵌まらないように溝が掘ってありますので取り付け時は安心です。
クランクを取り付けましたらボルトと外れ止めプレートを仮止めして
クランクキャップを取り付け工具を手で回して取り付けていきます。
この時のトルクは0,7~1,5Nmなので手で回しても十分です。
クランクキャップが取り付け出来ましたら外れ止めプレートが嵌っているのを確認してボルトを締め付けていきます。
この時の締め付けトルクは12~14Nm。最初の内はきちんとトルクレンチを使った方がいいと思います。
クランクの取り外しなんて難しそう〜、と思っている方も一度やってみると意外と簡単にできると思います。慣れれば10分も掛からずにに外せるようになれます。
ロックリング締め付け工具とは? どこに使う?
続いてはロックリング締付け工具となります。
シマノのTL-LR15という工具になります。
こちらはスプロケットやディスクブレーキのローターの取付・取り外しの時に使用します。
スプロケを複数持っていて状況によって変えたりする場合にはなくてはならい必需品です。
値段も¥1,500くらいなので必ず持っていたい工具です。
それではスプロケの取り外し、取付を例として使い方を見ていきます。
まずは工具をスプロケのロックリングに噛ませます。
そうしましたら24mmのソケットレンチやモンキーレンチを使って緩めます。
ですがこの時、普通に緩めようとするとホイールのハブのラチェットが効いてしまい空周りしてしまいます。
そこでこのような工具を使います。
これはスプロケットリムバーという工具でスプロケットに取り付けてスプロケが回るのを抑える工具になります。
色々なメーカーから出ており安いものだと¥1,000ぐらいからあります。
これがないとスプロケットは外せないのでこちらも一緒に購入しておくのをお勧めいたします。
さてスプロケットリムバーを一番大きいスプロケに引っ掛けて抑えるとスプロケが空回りしなくなりますので力を込めてロックリングを緩めます。
取付時には40Nmという力で締め付けているのでちょっと力が入ります。
またグリスが塗布されていないと噛み込みを起こしてキツくなっている時があるので気をつけて緩めていきます。
緩めばあとは手で回して外せます。
ロックリングが外れればスプロケは手前に引くだけて外せます。
無事に取り外せたら今度は取り付けになります。
まずホイールのハブにスプロケを嵌めていくのですがスプロケには裏と表、そして1箇所だけ溝の幅が違うところがあります。
字が書いてある方が表です。裏表逆だと嵌まりません。
ハブの方にも1箇所溝の幅が違うところがあります。
両方の溝が合うと嵌りますので数字が大き方から順に嵌めていきます。
全部嵌まりましたらロックリングを軽く占めるのですがその前にロックリングにグリスを塗布します。
これをしておかないと最悪噛み込みを起こしてロックリングが外れなくなります。必ずやっておきましょう。
ロックリングを取り付けましたら締め付け工具を手で回してある程度締めていきます。
締め付けの時はラチェットで空回りすることがないのでスプロケットリムバーは必要ありません。
ある程度締めましたら最後にレンチで本締めを行います。
この時の締め付けトルクは40Nm。結構力が入ります。
慣れないうちはきちんとトルクレンチを使って締付けましょう。
これでスプロケの取付が完了いたしました。
またこちらの工具は最近増えてきたディスクブレーキのブレーキローターの取り外しの際にも使用します
こちらは特にラチェット機能とかはないので普通に回せば外れるので簡単に取り外しが出来ます
まとめ 最低限の専用工具は持っておいたほうが吉 転ばぬ先の杖
ロードバイクの整備や調整を行うのに持っておいた方がいい専用工具を2つ紹介いたしました。
2つともそれほど高くなく、それでいて代用が効かないので持っておいた方がいいです。
また同じ工具がシマノからではなく他のメーカーからも出ております。
こちらは大抵ハンドルが付いていたりして便利さが増しておりますがその分お値段が高くなっております。
あまり頻繁に使わないので安いシマノ製を選ぶか高いですが利便性が増した他社製を選ぶかはその方の使い方次第だと思います。
最後に自分からのアドバイスですが
工具は用途に合ったそれなりの値段のもの使った方がいい!
というものです。
私、恥ずかしながらサイズの合ってない安い工具でネジを舐めたり外せなくなったりしたことがあり、その度に店に持ち込んで怒られたことが何度もあります。
その時に「安い工具は精度が悪くガタが大きからうまく作業が出来ないし効率がすごく悪い。ましてやサイズが合わないなんで言語道断!」と叱られました。
ロードバイクは高いものは100万以上軽くします。
そんなものを百均で買った様な工具で整備するのは考えただけでも恐ろしいです。
転ばぬ先の杖、工具は用途に合ったきちんとしたものを選びましょう。
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